っかり嬢様ピンチ

 

 

再会

 

この先で大きな歩道に出ると、そこは半月前、スカートからスリップをはみ出させて歩く、あの「うっかりお嬢様」と出会った場所だ。

ここに来る度に、あの娘(むすめ)のことを思い出す。

品のある可愛らしい顔。

スカートからスリップをはみ出させて歩いていた姿。

そのシミチョロ姿を人々から見られた、ただそれだけのことで顔を真っ赤に染め恥ずかしがる愛くるしさ。

またあの娘に会えないものか。

この通りはその後何度も歩いたが娘には会えなかった。

もしかすると、あの一件が恥ずかしくて、もう表を歩けなくなってしまったのかも知れない。

大きな歩道に出た。

今日は夏本番の土曜日で休みの人も多いせいか人通りが多いようだ。

と右手から、涼しげな水玉模様のワンピースを着た娘が歩いて来るのが目に入った。

あれは、あの娘ではないか?

私の直感に狂いはなかった。

それは紛れもなく、あの品のある可愛らしい顔立ちをした「うっかりお嬢様」だった。

また会えた。

今日の彼女も広がるスカートをひらひらと揺らし、歩いていた。白地に直径5センチほどの濃紺の水玉が広めに間隔をあけて散らされた涼しげなワンピース。

肩の部分はこの日も愛らしく膨らむパフスリーブで覆われていた。

そのパフスリーブとスカートの一部はシースルーだった。

スカートの裾から少し上が一周15センチほどの幅でシースルーになっている。

そのセクシーさを娘は分かって着ているのだろうか?

娘は今日も中の詰まった白いバッグを肩に掛けていた。

その肩のところでクルリと内側に巻く黒髪。

何度見ても上品さが溢れる可愛らしい顔だ。

娘が近づいて来る。

ひらひらと揺れるスカートのセクシーなシースルー部分に私の目は引きつけられた。

と、何かが見えている。

ごく薄い膜一枚を張られたようなそのシースルーの布の向こうに何かが見えるのだ。

もしや、あれは

やはりそうだ。

今日の娘はスカートのシースルーになった部分からスリップの裾レースを覗かせてしまっているのだった。

あれはデザインではないはずだ。デザインにしては、なんとも生々しい。

ワンピースとレースとの間にチグハグさがあった。

下着とデザインは、やはりどこか違うものだ。

いかにもうっかり下着が見えてしまった、そんな格好悪さがあった。レースの感じが不自然で、明らかに下着だ。

娘はたぶん今日も「うっかり」なのだろう。スカートのシースルー部にレース模様が見えていることを知ったら恥ずかしがるに違いない。

こんな大勢の人前で、スリップの裾レースがぐるり一周見えてしまっているのだ…。

初老女性、来い!

私は娘の後をつけながら願った。

先日のような初老女性に現れてもらって、この大勢の人前で「シュミーズ」「シュミーズ」と騒ぎ立ててもらいたかった。

人々の視線を娘に集中させて欲しかった。そして娘のシミチョロを、皆に見られるがままにして欲しかった。

しかしそう都合良く事は運ぶものではない。

先日のような初老女性は現れる気配がなかった。

私はドキドキする胸を抑えきれず、思い切って娘に声をかけることに決めた。

「有沢翠(ありさわみどり)さん。」

声がうわずった。

娘は驚いた顔をこちらに向けた。

私はあの日見た表札で娘の名を知っていた。

さらに表札の”Arisawa Midori”を漢字でどう書くかまで、娘のフェイスブックを見つけて知っていた。

娘は何故、知らないおじさんが自分の名を知っているのかいぶかしがる様子だったが、彼女にはそんなことを気にする暇はあまり与えられなかった。

「スカートのここ、スリップが見えちゃってますよ。」

私は、こちらに顔を向けては通り過ぎて行く人々の中、初老女性の代わりとなって娘に教えた。

「え?」

娘は私に指差されたスカートの裾を見た。

しかし膝より下の部分のため、よく確認ができない。

「写真撮って見せてあげよう。」

「え?」

私はスマホを取り出しカメラアプリを起動して娘から少し離れた。

娘の全身を撮影。見せる。

「ほら、ここのところに。」

私は娘の写真をズームアップしてスカートのシミチョロ部分を大きくした。

ハッキリと娘のスリップが、そのレース模様が見えてしまっている。

「やだ私…!」

娘は口に両手を当てて狼狽した。可愛らしい声だ。

「こんなに。」

娘はみるみる赤面した。

「どうしよう。」

やはり今日も娘はうっかりをしでかしてしまっていたのだった。よくよくそそっかしいお嬢様だ。

娘は慌てて肩のバッグを下ろすと、前屈みになってバッグをスカートの裾に当てた。

娘はしばし困惑の表情でうろたえた。そして、

「あ、ありがとうございました。私…、恥ずかしい…。」

そう言って立ち去ろうとした。

私は「ほら、もっと撮って見せてあげる」と言い、
さらに撮影をした。

「あ、やめてください。」

娘はスカートの裾を隠すバッグを私の前に移動させ言った。

「撮らないでください。」

私は右に左に移動した。娘は私が動くにつれバッグの位置をあちこち動かし、スカートの裾を隠した。

可愛い。

(いいぞ!もっと恥ずかしがれ!)

私は股間を熱く勃ち上がらせながらシャッターを押した。

「やめてください

「あ、やめてください。」

娘の声は小さかったが、ちょっとした騒ぎになってしまった。

都会の幅広な歩道の真ん中だ。人々が顔を向けて見る。

通行人らは、娘が不自然な前屈みになってバッグで隠すスカートの裾に目を落として行った。

あんな風に必死で隠さなければ見られずに済んだかも知れないのに、娘は自らスカートに透けるスリップのレースへと人々の視線を引きつけていた。

水玉の白いスカートを一周する15センチほどの幅があるシースルー部に純白スリップのレースがぐるり見えていた。バッグで一部を隠したところであまり意味はなかった。

私は通行人らの視線を確認すると言った。

「有沢翠ちゃんは

娘は恥ずかしげに顔を歪めた。

娘の名前は通行人らの耳に入ってしまった。

彼らは皆、娘の顔を見た。

今の娘には、これは恥ずかしかったに違いない。

スカートのシースルー部にスリップを丸出しにした恥ずかしい格好で娘は行き交う人々に名前を知られてしまった。

「アリサワミドリ」

娘は行き交う男たちから顔を見られ名前を知られスリップを見られていた。

アリサワミドリという名を聞いた男たちが娘に顔を向け、娘が一部を隠しているスカートの裾へと目を落とした。

娘が見られることを心底恥じているスリップの裾レースが、行き交う人々に次々見られてしまっていた。

「有沢翠ちゃんは鏡を見ないのかな?」

私が言うと、

「名前

と娘は言った。

「言わないでください。」

娘は私に懇願をした。その顔は真っ赤に染まっていた。

通行人らはまた娘の名前を聞いてしまった。

アリサワミドリという娘がスカートのシースルー部に何か見られてはいけないらしきものを見せて立っている。

顔を真っ赤に染めてバッグで必死に隠そうとしているところを見ると、それは、下着

あれはデザインでああいう風になっているのではなく、下着…。スリップというやつか?

いやだあの子、スリップ丸見えなの?

私はすぐに続けた。

「有沢翠ちゃん。この前は、スカートからスリップが出ちゃってたでしょう。」

娘はハッと目を見開いた。

顔が耳まで赤く染まって行く。

見られてしまっていた

あの恥ずかしい姿をこの人は見てしまっていた

娘の目がうるんだ。

「あれはだらしなかったよ有沢翠ちゃん。水色のスリップ、スカートからはみ出ちゃっててね、有沢翠ちゃん。」

「いや。」

娘は顔をそむけてうつむいた。

消え入りたい様子だ。

「みんなに見られちゃったよ?有沢翠ちゃん。」

私は追い打ちをかけた。

「いつもうっかり穿いちゃうの?有沢翠ちゃん。」

人々が私と娘とそのスカートに透けるレース模様に目をやりつつ、私たちをよけて歩いて行った。娘の名前は皆の耳に入っていたに違いない。

娘は顔をそむけたまま「言わないでください。」と言った。

「何?有沢翠ちゃん。」

「私、こんな格好ですから

「言わないでください。」

娘の声はだんだん小さくなっていた。

人々が娘の顔を見てはスカートの裾に目を落とし通る。

「何かな?有沢翠ちゃん。」

私は嗜虐心に胸うずきながら言い続けていた。

娘はどんどん名前を知られている

「私こんな格好ですから

「聞かれてしまうから

「やめてください。名前。」

「どうしたの?有沢翠ちゃん。」

「こんな格好で。言われたら

「私の名前

「恥ずかしい。」

娘がそう言えば言うほど、娘の名前はアリサワミドリだと通行人らに確認されてしまっていた。「アリサワミドリ」が「私の名前」だと、娘は大勢の人前で公言しているのに等しかった。

「有沢翠ちゃん?」

私はなおも娘の名を呼んだ。

「いや。名前は。聞かれてしまいますから

「お願いします

「こんな格好なので

「見てますから。」

「何?有沢翠ちゃん。」

「見てますから。名前は

「こんな格好。見てますから。」

「有沢翠ちゃん?」

「言わないでください

「見てますから

「私、こんな格好を

「見てますから!」

娘は恥ずかしさに目をきつくつむり、顔をますますうつむかせた。

いいぞ。可愛い

私は撮影を続けた。

 

念願の展開

 

私は娘のスカートのシミチョロ部分にスマホを近づけシャッターを押した。

「あ、撮らないでください。」

娘は後ずさりつつ言った。

「写真。こんな写真。駄目です。消してください。あ、恥ずかしい。」

しかし私は撮影をやめない。

「ほら後ろも撮ってあげようね。有沢翠ちゃん。」

私は娘の後ろに回った。

「あ、いや。」

娘はスカートの裾に当てていたバッグを後ろに回し、今度は上半身を後ろに反らしてスカートの後部を隠した。

水玉ワンピースの胸が程よく形良く突き出した。

娘は私から逃げて体の向きを変えて行く。私は娘の背後を追いかけて移動し撮影を続けた。

水玉ワンピースの体を反らしてバッグでスカートの後ろ側の裾を隠す娘もクルクルと回る。

不自然な光景。幅広の歩道の真ん中だ。

ますます人々の目が集った。

「あらあら。」

「モデルさん?」

その時、老婆の団体が来た。

これを待っていた!念願の展開だ!

「いえ違うんです。」

私は説明をした。

「お嬢さん、下着が見えてしまっているので、これを見せてあげようと思って。」

私はスマホの写真を老婆たちに見せ、スリップ部分を拡大した。

「あらあらあら!」

そう言って老婆らは娘のスカートに目を移し「あらほんと!見えちゃってるわね、シュミーズ!」と大きな声を上げた。

通行人らの視線が集まる。実にいい展開だ!

「ああちょうど、レースのところがここに来ちゃったのねえ。」

「あらまあ大変!こういうスカートだから!」

「お嬢さん大変!ハッキリ出ちゃってるわよ、シュミーズのレース!」

娘は顔を耳まで真っ赤に染め恥じ入っていた。

通行人が娘のスカートの裾を見て通る。

「どうしてこんなことになったの?」

「丈見なかったの?」

「もうこの格好で、ずいぶん歩いちゃった?」

老婆たちは娘の返事も待つことなく周りじゅうから騒々しく声をかけた。

「あなた!男の人に見られちゃったわよ!?」

「やだ!こんな格好!」

「どのくらい歩いたの?」

「この前はどこにいた?」

「たくさん見られちゃったわよ!」

「男の人たちの前をこの格好で歩いて来ちゃったの?」

「シュミーズ丸見えよ?あなた!」

願った以上の大騒ぎになってしまった。

通行人の視線はますます娘に注がれた。

娘の顔と、そしてスカートから透けるスリップのレースに男たちの視線が集まる。

「お嬢さん、この格好でずっと歩いてたの?」

「男の人にいっぱい見られちゃったわよ!」

「やだシュミーズ丸出しで!」

「男の人に見せちゃったの!?」

「お嫁入り前のお嬢さんが。」

「恥ずかしい。」

「こんなはしたない格好。」

「男の人たちの前を歩いて来ちゃったの?」

「シュミーズ丸見えよ!?ちょっと!」

「はしたない!」

と、一人の老婆が「これ、何とかしないといけないわ。」と言った。

そして老婆は「すいません!」と通行人の男らに言った。

娘がハッとして顔を上げた。

「お嬢さん、シュミーズ出てしまってるの、見ないであげてちょうだい!」

通行人の男たちは何事かと一層、娘に目を向けた。

娘は「やめてください。」と真っ赤な顔でか細い声を上げた。

「お嬢さんのシュミーズ、見ないであげてちょうだい!」

「下着が出てしまってるんです!お年頃のお嬢さんだから見ないであげて!」

「やめてください。」

娘は前屈みになってバッグでスカートの裾を隠しながら困惑の表情でか細い声を上げた。

しかし下着と聞いた男たちはいよいよ娘に目を向けて、少しずつ立ち止まり始めた。

皆、娘のスカートを見る。

スリップのレースが透けるシースルーの部分は幅が15センチほどもあるので「下着」がどれなのかすぐ分かった。

水玉ワンピースの娘はバッグで前側だけ隠していたが、ここは幅広の歩道の真ん中である。通行人の男たちは娘の周りじゅうにいる。娘のスリップのレースは様々な方向から丸見えであった。

娘は顔を真っ赤に染めて老婆に言った。

「やめてください…。

「私…、見られて…。いますから…。」

老婆は聞こえていないのか無視して続けた。

「お願い見ないであげて!」

「シュミーズ見ないであげてちょうだい!」

立ち止まる男はどんどん増え、若い女性らも加わり出した。

「お願いします!お嬢さんの下着、見ないであげて!」

「やめてください。」

娘は前屈みになってバッグでスカートの前を隠しながら、か細い声で懇願し続けた。

「見られて、しまう。」

老婆は一人の男性のところに行き「お嬢さん、こんなの見られたら恥ずかしいから、見ないであげて、ね?」と言った。

30代ほどの男は困惑した顔をしたが、娘を見たままであった。

老婆は他の男のところへ行き懇願し続けた。

「お願い、見ないであげてちょうだい。お嬢さん、スカートの裾が透けててシュミーズ見えちゃってるんです!恥ずかしいから見ないであげて!」

老婆は実質上、娘の状況を男たちに説明して回っていた。

「やめてください…。こんなに人が…。

「私…、見られて…。

「あ、いや…。

「見られています…。から…。」

娘は顔を真っ赤に染めて懇願した。

「どうしましょう、こんなに人が集まってしまった。」

娘の周りにいる老婆らは少し黙った。自分たちが人を集めたのに自覚はないらしい。通行人の男たちに呼びかけていた老婆も戻って来た。

「駄目ね。みんな見てしまう。」

老婆はあれで人が追い払えると思っていたらしい。

「年頃のお嬢さんのシュミーズを見るなんて、悪趣味だわ!」

「そうね。こんな恥ずかしいところ、見ちゃうなんて。」

「でも、可愛らしいから、しようがないんじゃないかしら。」

「そう、こんな可愛らしいお嬢さんが下着丸見えでいるんだもの。」

「男の人だったら、見ちゃうかも知れないわね。」

「お嬢さん可愛らしいから、男の人たち嫌らしい気持ちになっちゃってるんじゃないかしら?」

「そうね、お嬢さん、きっと嫌らしい目で見られちゃってる。」

「可愛いお嬢さんが大シミチョロしちゃって。」

「健康な男の人なら、こんな可愛らしいお嬢さんの下着、見たいかもねえ…。」

すると一人が提案をした。

「脱いじゃうしかないわね。」

娘はハッと顔を上げ老婆を見た。

「デパートのお手洗いに行ってシュミーズ脱いじゃいましょう。」

他の老婆も同意した。

「そうね。お嬢さん、もう脱いじゃうしかないわ。」

「こんなに見られては大変!」

「脱いじゃいましょう。」

「お嫁入り前のお嬢さんが男の人たちに下着を見られたらいけない。」

「みんな嫌らしい目で見てる。」

老婆らは娘の背中を押し促した。

「でも

と、娘はためらった。

さしずめ今日もカップ付きスリップなのだろう。ブラジャー兼用になっているスリップだ。脱いだら乳首が透けてしまうのである。

「さ、行きましょう。」

「下着見られたらいけない。」

娘は老婆らに押し切られ連行されてしまった。

老婆らは娘のスリップを隠すため、娘のスカートの周囲をデパートの紙袋で包囲してやった。

しかし、それは逆効果だった。

娘はよけいに人目を引いてしまった。

人々は何かと思い、皆、紙袋に包囲されている娘のスカートの裾をのぞき込んで見た。

「見ないであげて!」

「お嬢さん、シュミーズが透けて見えちゃってるんです!」

「スカートの透けてるところ、可哀想だから見ないであげて!」

そんなことを言われては娘はいよいよ恥ずかしい。どこがどんな風に恥ずかしい状況となっているのか人々に説明されてしまっていた。

娘は下唇を噛み、顔を耳まで真っ赤にして目をうるませて歩いていた。

「シュミーズは見ないでください!」

「スカートのシュミーズは見ないであげて!」

「スカートの透けてるところは見ないで!」

「お嬢さん、スカートにシュミーズが見えちゃってるんです!恥ずかしいから見ないであげてください!」

スカートにシュミーズが見えちゃってる

人々はよく意味が分からない様子で、好奇心から一層、袋に包囲された娘のスカートを覗き込んだ。

「きゃっ!あれ、スリチラ!?」

若い女性が声を上げた。

「リアルスリップ?」

「見えちゃってるの!?」

「ワンピが透けてて?」

「ちょっと、かっこ悪くない?」

そう言って女性らは笑った。

「ああ、見えちゃってるのか。」

私と同年配の男がぼそりと言った。

「シミチョロだ。」

さすが同年配だった。シミチョロという言葉も私たちの世代までだろう。

「おお!なんだ!?」

少年らが覗き込む。

「ちょ、ヤバくない?」

少女たちは笑い合った。

「あれ、下着なの?」

「見られちゃ恥ずかしいんだって。」

「それであんな丸出し?」

「ハズくね?」

「丸見えだよ。」

「アハハ!完全バカ!」

「下着一周丸見えにしてんの!(笑)」

「こんな人前でハズすぎる~。」

「顔真っ赤だよ。(笑)」

「バカだよなあ。(笑)」

実におびただしい数の人々が娘のシミチョロを覗き込み、様々な言葉を吐きつつすれ違って行った。

 

晒し責め

 

デパートのトイレ前。娘は老婆たちに連れて来られた。

「あとは大丈夫、ね?」

「おトイレで脱いじゃうのよ、恥ずかしいもの。」

耳が遠いのか、老婆らは賑やかな調子で口々に言った。

「シュミーズ丸見えで大勢人が見ているから。」

そう言った老婆は辺りを見回した。

トイレ付近には休憩用のイスがいくつかあり、十人ほどの人々が座っていた。トイレを使う男女も行き交っている。

彼らは皆、賑やかな老婆らに顔を向け、そしてその中に取り囲まれている可愛らしい水玉ワンピースの美少女に目をやった。

老婆らは広がって娘を囲んでいるため、娘の全身はすっかり見えていた。

気品溢れる愛苦しい顔。

肩に膨らむ半透明のパフスリーブ。

程よく突き出した胸。

裾にかけひらひらと広がる水玉模様のスカート。

そして、スカートのシースルー部に透けた、スリップのレース模様

(ああ娘は、またも恥ずかしい部分を見られてしまった!)

老婆たちは娘が人々から恥ずかしいシミチョロ姿を見られるままにして、その賑やかな調子のまま、なんと娘への言葉責めを始めるのだった。

「お嬢さん、今日はこれじゃ、ずいぶん見られちゃったかしらねえ?」

「見られちゃったわねえ。」

「そうよねえ。」

「すごい人出だものね。」

「恥ずかしかったわねえ。」

「とっても大勢の人!」

「男の人たちが、ねえ。」

「そう男の人たち大勢!」

「大勢見ちゃってたわねえ。」

「お嬢さん、見られちゃったのねえ。」

「恥ずかしいわ。」

「可哀想に。」

「お嬢さん、可哀想。」

「男の人たちにねえ。」

「こんな格好を。」

「見られちゃったのねえ。」

娘はトイレ前を行き交う人々の視線を感じて恥ずかしげにうつむいていた。

賑やかな老婆らの声はトイレに出入りする人々の視線をいやが上にも引きつけていた。

それは娘にとって羞恥責め以外の何物でもなかった。

中年男性、若い女性、娘と同世代の青年、中年女性。彼らは皆「シュミーズ丸出し」「見られた」という老婆らの言葉を聞いて娘の全身に目をやった。

水玉ワンピースを着て立つ娘のスカートのシースルーになった部分にスリップのレースが見えていることは誰の目にもすぐに分かった。「ああ」と口を開ける者もいた。

娘の恥ずかしい下着がどんどんと皆に見られていた。

スリップのレース丸見えで立つ娘。男もたくさん通る。

娘は見られてしまう。

男たちからスリップ丸見えの恥ずかしい姿を見られてしまっている。

同い年くらいの男の子らにも見られてしまっていた。

娘にとっては絶対に男の人から見られてはいけない姿、特に同世代の男の子たちには見られてはいけない姿を、娘は見られてしまっていた。

スカートのシースルー部にスリップが出てしまっているみっともない姿。

娘は泣き出しそうに顔を歪めていた。

下着を晒して立つ娘。

格好の悪い姿。

こんな姿を男の子たちからさえ見られて

バッグを握る娘の両手に力がこもった。

老婆たちの大騒ぎは続いた。

「お嬢さん、きっと、今日はもうたくさん見られちゃったわよね。」

「お嫁入り前のお嬢さんが、ねえ。」

「可哀想にい。」

「シュミーズを見られてしまった。」

「男の人たちにねえ。」

「ちょうどこういうスカートだから。」

「丈を見なかったのねえ。」

「お嬢さん、下着丸出しで街歩いちゃった。」

「あんな人前でこんなことになってたら、どうしようか分からなくなっちゃうわよねえ。」

「みんなに見られてねえ。」

「隠せないものねえ。」

「でも、シュミーズのレースが丸見えじゃ、恥ずかしかったわよねえ?」

「可哀想に。」

「男の人たち、見ないでいてくれたら良かったけど。」

「でも見ちゃってたわよねえ。」

「見ちゃってた。」

「だってこんなに可愛らしいお嬢さんなんだもの。」

「男の人たちは、見たいわよねえ。」

「可愛いお嬢さんのシミチョロですものねえ。」

「めったに拝めるものじゃないもの。」

「拝むなんてあなた、エッチねえ!(笑)」

「だってこんなに丸見えって、ある?」

「こんなに可愛いお嬢さんが、こんな大胆にシミチョロしてるなんて、ないわよね。」

「見られないわ。」

「普段見たくても絶対見られない。」

「健康な男の人だったらみんな見たいわよ!」

「スカートめくらなくても、シュミーズが丸出しなんですものね。」

「こんな可愛らしいお嬢さんのシュミーズ、やっぱり見たいわよ。」

「健康な男の人だったらそうかしら?」

「そうよ!」

「ドキドキしちゃうんじゃない?」

「いけない気持ちになっちゃうわね。」

「男の人たち、みんな嫌らしい気持ちで見たんでしょうねえ…。」

「恥ずかしいわ、お嬢さん…。」

「でも下着見るなんて最低!」

「見ないであげて欲しかったけど。」

「でもやっぱり見ちゃうわよねえ。」

「ここに来る時も大勢見てたわよ。」

「ああ大勢見てたわ!」

「あんなたくさんの男の人たちから見られてしまって。」

「こんな姿、見ないであげたらいいのに。」

「お顔も見られてしまったものねえ。」

「お嬢さん、お顔見られちゃったのねえ。」

「覚えられちゃったかしら?」

「覚えちゃったんじゃない?可愛らしいもの。」

「やだ街歩けなくなっちゃうわ!」

「シュミーズ丸出しで都会を歩いたお嬢さんだって、皆に思われてしまう!」

「やだ恥ずかしい!」

「シュミーズ丸出しで大勢の人前を歩いたお嬢さんだなんて、はしたない!」

「そんなことみんなに知られてしまったの!?」

「知られちゃったのよ。」

「お顔も見られちゃった。」

「みんな覚えちゃったわよね。」

「とっても可愛らしいお顔だものね。」

「お嬢さん恥ずかしい!」

「恥ずかしい!」

「恥ずかしいわ。」

「お嬢さんお嫁に行かれなくなってしまう。」

「お嫁入り前のお嬢さんが。」

「シュミーズ丸出しのところを顔も見られてしまった。」

「ずーっと歩いて来ちゃったのよねえ。」

「シュミーズ丸見えで。」

「男の人たちに見られちゃってねえ。」

「顔もシュミーズも。」

「恥ずかしいわ。」

「恥ずかしい!」

その瞬間にもまた中年男性が一人、トイレに入りかけて止まり娘の顔そしてスカートの裾に顔を向けた。

スカートのシースルー部にスリップのレースが見えていることはすぐに分かった。

男は「お」と口を開いて立ち止まり娘のスリップを見つめた。

と、その中年男性の横を一人の青年がトイレから出て来た。

彼は迷わず娘のスカートに目をやってシースルー部を見た。

彼は先ほどトイレに入る際、娘のスカートにスリップが透けていることに気付いていたが、気になっていたのだろう。出て来るなりまた娘のスリップを見ていた。

娘の恥ずかしい姿が男たちの目に晒されていた。

「はしたないから気をつけるのよ。」

「スカート穿く時はよく丈を見てね。」

いつしか老婆たちは娘を叱り始めた。

「見られちゃうと恥ずかしいからね!」

「シュミーズは男の人に見せちゃいけないのよ?」

「パンツ見られちゃうのと一緒。」

「下着よ、シュミーズは。」

「あなた下着丸出しで男の人たちの中にいたの。」

そんなことは娘には分かっている。もともとスリップが下着だという意識が強い娘に、老婆らはさらに羞恥心をかき立てるような言葉をかけていた。

パンツ見られちゃうのと一緒のスリップを今も娘は男たちからどんどん見られてしまっているのだった。

娘の目に涙が溜まった。

「はしたないわよ、この格好は。」

「シュミーズ丸出しは、はしたないわねえ。」

「はしたない。」

「はしたない。」

「はしたない。」

「なのに顔まで見られちゃって。」

「覚えられちゃったわよ絶対。」

「こんな格好で、お顔覚えられちゃって。」

「あなた、恥ずかしいわよ。」

「恥ずかしい。」

「恥ずかしいわ。」

「恥ずかしい。」

「シュミーズ丸出しにした格好でお顔も覚えられちゃうなんて。」

「お顔、忘れてくれないかしら?」

「覚えられちゃったわよねえ。」

「忘れてはくれない?」

「もう駄目よ。」

「お嬢さん、お顔覚えられちゃったわ。」

「シュミーズ丸出しで歩いた子って、お顔覚えられちゃったわよね。」

「いやだこんな格好してたの覚えられちゃって。」

「お嬢さん気をつけてね。」

「男の人たちにたくさん見られちゃったからね。お顔とシュミーズ。」

「シュミーズ丸出しのお嬢さんて覚えられちゃったわよ?」

「お嬢さんこれからも街を歩くのに。」

「大勢の男の人たちがシュミーズ丸出しのお嬢さんて覚えちゃった。」

「これだけの人出だものねえ。」

「お嬢さんのだらしないところ知っている男の人たくさんできちゃったわ。」

「シュミーズのあの子だって、皆、思うかしら?」

「この間シュミーズ丸見えだった子だって周りじゅうから思われちゃうわよ。」

「変な噂が立たなければいいけど。」

「お嫁入り前のお嬢さんですものねえ。」

「皆に話されちゃったら大変!」

「あの子この間って。」

「いやだ皆に言われてしまうの!?」

「やだ恥ずかしい!」

「シュミーズ丸出しで歩いてたって噂されてしまう!」

「大勢の人前でシュミーズ丸出しだったって。」

「スカートの裾が透けててシュミーズが見えてたよって。」

「教えられちゃうの?」

「話しちゃうでしょう?やっぱり。」

「真っ白なシュミーズがスカートの透けてるところから丸見えだったよって。」

「みんな見てるのに平気で歩いてたよって。」

「だらしないよね、ってねえ。」

「やっぱりみんな言っちゃうわよねえ?」

「だって都会の真ん中をシュミーズ丸出しで歩いちゃったんだもの。」

「そんな恥ずかしいこと!」

「お嬢さん言われちゃう!」

「みんなに知られてしまうわ!」

「シュミーズ丸出しのこと、みんなに言われちゃったら!」

「お嬢さん、もうこれからは気をつけて普通にスカート穿いても

「この前シュミーズ丸出しだったって想像されてしまう!」

「スカートの上からシュミーズを想像されてしまう!」

「やだ!スカートの上からシュミーズをだなんて!」

「こんなに清楚なお嬢さんなのに。」

「恥ずかしい姿を。」

「お嬢さん、シュミーズ姿、想像されてしまうのねえ。」

「シュミーズ姿だなんて!やだ!ちょっと!」

「恥ずかしい!」

「シュミーズ姿を想像されるだなんて!」

「お嬢さんもう何着てても駄目かしら。」

「何を着たって、シュミーズ姿を想像されちゃうんじゃないかしらねえ。」

「ねえ、シュミーズ姿って、全身シュミーズ?」

「やだちょっと!(笑)」

「恥ずかしい!(笑)」

「シュミーズ一枚の姿を想像されてしまうわけ?」

「ああでも想像しちゃうかも知れないわよ。」

「皆に話されて行くうちにね。」

「だんだんそうなっちゃうかも知れない。」

「やだあー!」

「お年頃のお嬢さんが。」

「シュミーズ一枚だなんて。」

「でも、どんなにおめかししても、その上からシュミーズ姿を想像されてしまうのねえ。」

「はしたない姿を想像されてしまう!」

「大勢の男性から!」

「やだ恥ずかしい!」

「シュミーズ丸出しで都会を歩いてたお嬢さんて、思われてしまうの?」

「恥ずかしい!」

「恥ずかしい姿、想像されちゃう!」

「はしたないお嬢さんになっちゃうわ!」

「今日見た人だけだってすごい数なのに!」

「他の人にも知られてしまう。」

「もうみんなお嬢さんのこと知っちゃうじゃない!」

「お嬢さん、皆からそういう目で見られてしまったら。」

「お嬢さん可哀想!」

「恥ずかしいわ。」

「お嫁入り前なのに。」

「お見合いもするでしょうに。」

「どうしましょう!」

「シュミーズ丸出しのお嬢さんだなんて!」

「はしたない!」

「皆からそんな風に思われたら。」

「お嬢さんお嫁に行けなくなってしまう。」

「こんな可愛らしいお嬢さんなのに。」

「東京ですものねえ。」

「大勢の人に見られてしまった。」

「本当に大勢の男の人!」

「お嬢さん有名人になっちゃったわ。」

「みんな見てしまった。」

「お顔もシュミーズも。」

「あんな大勢の男の人から見られてしまって。」

「はしたない姿を。」

「お嬢さん、今日はたくさん見られちゃったのねえ。」

「こんなに見えてるんですものねえ。」

そう言って、一人の老婆は娘のスカートの裾を見た。

15センチ以上の幅があるシースルーの部分からハッキリと透けるスリップのレース模様。

それは生々しく鮮やかに白く露出をしていた。

休憩イスの青年らは一人が娘にスマホを向けシャッターを押した。

とうとう娘の「だらしない」姿は私以外の男性にも写真を撮られてしまった。

老婆たちはそんなことに気付かない。

「これはとっても恥ずかしいこと。」

「下着を見せちゃって、あなた。」

「何百人ていう男の人が見ちゃったでしょう?」

「ああ本当、何百人よねえ。」

「それが他の人にも言われてしまうから。」

「何千人?何万人になっちゃう?」

「いやだあ!」

「お嬢さん何万人の男の人たちから知られてしまう!」

娘の両目から、ついに、真っ赤な頬へと涙が溢れた。

「あらあら可哀想に、泣いちゃって。」

「恥ずかしいわよねえ?こんなはしたない姿でお顔まで見られちゃったら。」

老婆らは自分たちが娘を泣かせたのに気付いていない。

「本当に恥ずかしかったわよねえ?」

「でも、はしたないわよ?お嬢さん。」

老婆たちは泣く娘にも容赦はなかった。

「そう。こんな格好、絶対に男の人に見られたら駄目。」

「シュミーズ丸出しだなんて、あんな人前で。ねえ?」

「男の人もいっぱい!」

「恥ずかしい恥ずかしい!」

「とっても恥ずかしい。」

「はしたない。」

「だらしがない。」

「あなた、たくさん見られちゃったのよ?」

「男の人たちに。」

「丈が合わなくてシュミーズの裾がスカートから透けちゃってるところ。」

「丈見なかったなんて、だらしないわ。」

「恥ずかしい。」

「お嬢さん、失敗しちゃったわねえ。」

「男の人たちが見てる前で失敗しちゃった。」

「お年頃のお嬢さんが失敗しちゃうなんて、恥ずかしいわ。」

「こんな東京の真ん中で。」

「失敗してシュミーズが見えちゃうだなんて。」

「大シミチョロよ!」

「大シミチョロよねえ。」

「男の人たちの前で、お嬢さん大シミチョロしちゃった。」

「お嬢さん、だらしのないところ、今日はいっぱい見られちゃったわよ?」

娘は泣いていた。それを、トイレに入る若い女性が見て通った。そして中年男性、青年、さらに別の中年男性、中年女性。皆、娘の「だらしがない」格好に目を向けた。

水玉ワンピースのシースルー部にスリップのレースが出てしまっている娘の姿。

格好の悪い姿。

老婆たちから言われずとも、娘にとっては男の人たちに絶対に見られてはいけない姿。

でも、どんどん見られていた。

男たちが、次々に娘の水玉スカートへ目を落としシースルー部に透けた娘の「下着」を見てしまっていた。

大学生くらいのハンサムな青年が立ち止まり娘を見た。

あ、見ないでください

ふと上げた娘の顔がそう言っていた。

あの人には見られたくない。娘はそう思ったのだろう。青年のいる右斜め前のスカートを娘はバッグで隠した。

意識しているのは明らかだった。

しかし娘のスリップは、いくらバッグを移動させたところでほんの一部が隠れるだけで、水玉のスカート一周のシースルー部に大露出をしたスリップのレースは丸見えであった。

そこで青年は、無情にも娘のスカートの裾に目を落としてしまうのだった。

娘の顔が絶望に歪んだ。

娘は見られてしまった。

格好の悪い姿、だらしのない姿を、スカートの裾にスリップを丸出しにした間抜けな姿を娘は素敵な青年に見られてしまった。

こんな恥ずかしい格好、こんな格好の悪い姿をあの男の人に見られてしまった。

下品な姿、絶対に見られてはいけない姿なのに。見られてしまった。

あんな素敵な人から見られてしまった。

可愛い自分でいたかったのに、格好の悪い姿を見られてしまった。

私は、だらしのない子だと思われてしまった。

娘は顔を羞恥に歪め、うつむいた。

娘の絶望が伝わって来た。

この時には、休憩イスの青年らは全員がスマホを持ち、娘の姿をズームインしながら写していた。

カシュー、カシューという音が響いている。

ここで、ようやく一人の老婆が青年らの行為に気付いた。

「あらやだ!ちょっと!写真撮られちゃってるわよ!」

他の老婆らが全員、その老婆が見る方向に顔を向けた。

青年らはバツ悪そうに顔をそむけ、スマホを隠した。

「いやだ、お嬢さん、こんな写真を撮られちゃって!」

「お嬢さん本当にお嫁に行けなくなっちゃう。」

「どうしましょう、お嬢さんのこんな写真、撮られちゃったわよ!」

「いま撮ってたわよね?」

「音してた、カメラの。」

「ずっと残っちゃうわね。」

「いやだ恥ずかしいわ!」

「どうしましょう。」

「こんな格好を写真に撮られるだなんて!」

「いやだ。」

「恥ずかしい。」

「同じ年頃の男の子たちからよ!」

「後で見られちゃう。」

「いつまでも見られちゃうわ!」

「同じ年頃の男の子たちに見られちゃう!」

「恥ずかしいわお嬢さん!」

「お友達にも見せたりしないかしら?」

「やだ恥ずかしい!」

どうやら年の離れた私は蚊帳の外のようだった。私も写真を撮ったのに老婆たちは青年らの方だけ気にして騒いでいる。

「あら恥ずかしいわねえお嬢さん。」

「同じ年頃の男の子たちから写真撮られちゃったわよ!」

「どうしましょう。」

「シュミーズ丸出しの写真だなんて!」

「恥ずかしい!」

「ずっと残っちゃう。」

「ずっと見られちゃうわ。」

「同じ年頃の男の子たちから!」

「お嬢さん、どうしましょう。」

「恥ずかしいわ!」

「シュミーズ丸出しをいつまでも見られちゃう。」

「ねえ、おトイレに入った方がいいんじゃない?」

一人の老婆が言った。

「そうね。」

「行きましょう。」

「早く入った方がいいわ。」

「私たちがここでこんなことしてたからお嬢さんよけいに見られちゃったんじゃないかしら?」

やっと気がついた。

「やだ!」

「お嬢さん、またたくさん見られちゃったわ!」

「やだあ。」

「よけいに見られちゃったわね。」

「写真も撮られちゃって。」

「同じ年頃の男の子たちから!」

「ごめんなさいね。」

「お嬢さん、またたくさん見られちゃったわ。」

「お顔も見られちゃった。」

「どうしましょう、恥ずかしいわ。」

「お嬢さんのこんな姿、見ちゃった男性がまた増えてしまった。」

「見られちゃったわねえ。」

「ごめんねえ。」

「また男の人たちから大勢見られてしまって。」

「お嬢さんの顔、よけいに知られちゃったわねえ。」

「どうしましょう。」

「お嬢さん、ますます知られてしまった。」

「はしたない格好でお顔も見られちゃった。」

「さあ、早くお手洗いに入りましょう。」

そうして老婆たちは娘を女子トイレの入り口へと促した。

娘はようやく解放の時を迎えた。しかしもう、娘はあの素敵な青年にまでスリップを見られた後だった。

「あとは大丈夫ね?」

「恥ずかしかったわね。」

「脱いじゃうのよ?」

「気をつけてね?」

「ごめんね。」

そう言って賑やかな老婆たちは、娘を女子トイレに入れて自分たちは出て来た。

「恥ずかしかったわねえ。」

「私たちがよけいに見せちゃった。」

そう口々に言いながら老婆たちはその場を離れて行った。

「写真まで撮られちゃって。」

「同じ年頃の男の子たちから!」

「男の人にもたくさん見られちゃったわねえ。」

「お顔、覚えられちゃったわよねえ。」

「はしたない子だねって言われちゃうわよ。」

「あの写真、やっぱりお友達にも見られちゃうかしら?」

「いやだあ!」

「お嬢さん、どうしましょう。」

老婆たちの騒ぐ声が遠ざかって行った。

 

羞恥ショー第2幕

 

娘が泣き腫らした顔でトイレから出て来た。

スカートにスリップのレースは見えていない。代わりに娘の脚が見えた。

スカートの裾から少し上、幅15センチほどの部分が今は完全なシースルーだ。なんともセクシーな衣裳である。

娘はスリップを脱いだのだ。

きっと今日もカップ付きスリップを着ていたであろう娘は脱ぐのに抵抗があったろうが、あれほど老婆らから罵倒されては恥ずかしくてとてもスリップを晒し続けることはできなかったのだろう。

「はしたない」「だらしない」「恥ずかしい」「男の人たちに見られた」あれほど連呼されてはもう一瞬たりともスリップを露出した状態ではいられまい。

この時、娘は消え入りそうな様子でバッグを胸に押し当てていた。

やはり乳首が透けるのだ!

と、私は娘の股間に目が行った。

白い水玉ワンピースのスカートに、薄桃色のパンティーが透けて見えていた。

パンティーの形がくっきりである。

娘はまたも恥ずかしいことになっていた。

娘は足早に歩き始めた。

私は後を追った。

後ろ姿の尻にも薄桃色のパンティーがくっきり透けていた。

私は1枚写真を撮った。

そして娘の後を歩いた。

娘のスカートはいつも下にパニエなどを穿いて広がっているのではない。細いウエストの下が彼女の尻に押し広げられて、そのためそこから裾へと垂れるスカートの生地がひらひらと広がる勢いを付けられているのだ。

それくらいだから娘の尻は大きめで張りがある。

その大きめな尻に押し広げられ張られたスカートが薄ピンクに染まっている。

パンティーの形がくっきり。

その下に水玉のスカートが裾に向かってひらひらと広がりながら揺れていた。

裾部分には15センチほどの幅で向こうが透けるシースルー部がある。


娘と私はデパートから表の通りに出た。人々が賑やかに行き交っている。

――今だ。

歩道の中央まで来た時、私は娘の前に出て彼女にスマホを見せた。

「お嬢さん、今度は。」

水玉ワンピースの尻に透けているピンクのパンティー。

「やっ!」

娘は思わずバッグを股間へと下げた。そして左手を尻へと回す。

程よく形良く膨らむ娘の胸が現れた。

それを見た私は思わず目を見開いた。

水玉模様のワンピースの胸には予想した通りに乳首が2つ突起を作って透けていたが、それはある意味、予想外な光景でもあった。

娘の乳輪は異様に大きかったのである。

娘の乳首は運悪く、どちらも濃紺の水玉部分をよけ白い生地のところに当たってしまっていた。

それは想像していた小粒で薄ピンク色の乳首ではなかった。

色の濃い、存在感のある乳首で、ワンピースの胸に2つのハッキリとした突起を作っていた。

そしてその周りに大きな乳輪。

これも色濃く広がっていた。

乳輪は大きいので、左は3カ所、右は2カ所が濃紺の水玉に一部隠されていた。しかしそれは娘の乳輪の大きさを強調する結果にしかなっていなかった。

私はまた写真を撮った。

「あ!」

娘は気づきバッグで胸を隠した。

パンティーが露出する。

うっかりお嬢様の可愛さ全開である。

私は興奮してスマホのシャッターを押し続けた。

「あれパンツ透けてね?」

背後で青年の声がした。

「やんっ!」

娘は顔を真っ赤にしてバッグでスカートの前を隠した。

と大きな乳輪と乳首の突起が現れてしまう。

ここでもまた「うっかり」だ。

「うわ!あれ!」

青年の一人は指さした。

「やっ。」

娘は慌ててバッグを胸へと戻した。

私は撮影を続ける。

「おじさん、これって?」

一人の青年が尋ねて来た。

「有沢翠ちゃん。田園調布のお嬢様。」

私はなるべく冷静を装って言った。

「いや!言わないでください!」

泣き腫らした顔の娘は声を上げた。娘は自ら、私の言った情報が本物だと青年らにバラしてしまった。

「何これ?撮っていいの?」

青年らはスマホを取り出し撮影を始めた。

「やめてください!撮らないでください!」

人々の視線が集まる中で、娘はスマホのカメラから逃げようとした。しかしスマホを構えた青年らにブロックされてしまう。

前はもちろん、横へ逃げても後ろへ逃げても先回りしてブロックされてしまった。

そうこうするうちに、スマホを向ける男の数はどんどん増えて行った。

それは大雨で川の水かさがあっという間に増えるのに似ていた。

気付けば娘の周囲では、カシューというスマホカメラのシャッター音が蝉時雨のごとく鳴り響いていた。

すごい数である。

娘は顔を真っ赤に染め、バッグで胸を隠し、またワンピースの股間を隠した。

スカートの前を隠すと水玉ワンピースの胸に乳首の突起と大きな乳輪が露出してしまう。

そしてまた娘は胸を隠し、スカートに薄桃色のパンティーが透けた。

娘はバッグをスカートの前へ下ろしパンティーを隠す。

「撮らないでください。」

「やめてください。」

娘は狼狽していた。

胸を隠す。パンティーを隠す。男らがスマホで撮影をしている。

娘は背後の男たちを気にしてバッグをスカートの尻に持って行った。前側全部が透けて見えてしまう。

娘はすぐそのことに気づき、慌ててバッグを胸に当てた。

生来の「うっかり」が、大慌てのため全開になっていた。

娘はまたバッグをスカートの股間に持って行き、そして再び胸へ戻した。

どこを隠してもどこかが見えてしまう。スマホで撮る男たちの数はさらに増えていた。

娘は真っ赤な頬に涙を流し、うろたえていた。

私はそこでカバンからタブレットを取り出した。

そして娘のフェイスブックを開いた。

品のある可愛い笑顔のプロフィール写真と「有沢翠」の名前があった。

「東京都大田区田園調布」

私は娘のプロフィール部分を拡大表示すると、娘の横にカバンを置き、それにタブレットを立てかけた。

娘のフェイスブックが皆の目に触れた。

「アリサワっていうの?」

一人の青年が聞いた。

「アリサワ…」

「ミドリ」

私は読みを教えてやった。

「すげえ!田園調布なんだ!」

「お嬢様!?」

やがて「カメラマン」たちは「有沢翠ちゃん!」と娘に声をかけ始めた。

街なかセミヌードで本名を知られてしまった娘。もはや号泣だった。

バッグで胸を隠し真っ赤な顔で号泣する娘。

と、一陣の突風が吹き付けた。

娘の髪が乱れ、白い水玉ワンピースのスカートが風をはらんだ。後ろ側が持ち上がる。

「あっ。」

片手を尻にやる娘。

と今度はスカートの前が持ち上がった。

フワッと大きな円を作って広がったスカートは、次の瞬間、娘の胸の高さまで一気にめくれ上がった。

「おおお!」

男らからどよめきが上がった。

桃色のパンティーが娘の白い太ももと共に丸見えになった。

フリルとリボンの付いたピンク色のパンティー。

シャッターが激しく押された。

風をはらんで持ち上げられた娘のスカートは丈が長めで生地がたっぷりしているため、娘の腰周りから太ももの後ろにかけて大きく広がり派手に舞っていた。

「いやっ!」

娘は両手でバッグを股間へと下ろしスカートを押さえ込んだ。しかし、全て撮影されてしまった後だった。

すると今度はスカートの後ろ側が高くめくれ上がり踊りを踊り出す。

娘は左手を尻へと回した。

大きな乳輪と突起した乳首は何にも隠されることなく水玉ワンピースの胸に見えていた。

盛大にシャッターが押された。ビデオを回している男たちもいた。

娘の髪は風に乱れて舞っていた。

と娘が片手で抱えていたバッグが娘の腕から抜けた。

「あっ!」

バッグは歩道へと落ち、中身が辺りに飛び出した。

東京セミナーの教科書が何冊も。

やはり娘は予備校生らしかった。

ノートや筆箱、電子辞書の下には折り畳まれた純白のスリップもあった。

私はそれを見ると思わず駆け寄りスリップを奪い取った。

「あっ!」

娘が声を上げる。

私はぐるりと娘を取り囲んだ男たちの前で娘のスリップを広げて掲げた。

「やめてください!」

両手両腕で必死に胸とパンティーを隠す娘は声を上げた。

スマホから目を離し驚いて見る男たち。

とうとう娘のスリップはその全体が男らの目に晒されてしまった。

私の耳元には自分の鼓動が大音量で鳴っていた。

胸にカップの付いた白いスリップ。

2つのカップの間に可愛らしいリボンが飾られ、裾には例のレースがあった。

「やめてください!いやっ!」

娘は声は上げるが、腕と手だけで必死に恥ずかしいところを隠さねばならないので私には近寄れないでいた。

男たちがシャッターを押し始めた。

私は体の向きを変え全ての男らに娘のスリップを見せた。

自分の顔はスリップに隠れるようにしていた。

娘のスリップが私の顔をくすぐる。

私は思い切り鼻で息を吸い、顔にスリップを貼り付かせた。そして私は、娘のスリップの匂いを存分に嗅いだ。

いい香りがした。

「やめてください…!

「下着です
…!

「見せないで…!

「見てはいや…!

「撮らないでください…!

「見ては駄目…!

「私の下着です…!」

娘の懇願むなしく、白いスリップは衆人環視の中で丸出しだった。しかも娘から、それは自分の下着だと大声で知らされていた。

私の股間はスラックスの下で直立し脈打っていた。

「なんで下着がバッグに入ってたんだ?」

男たちの一人が言った。

「そういうプレイ?」

「あれスリップだよな?」

「俺、スリップフェチなんだよね。ちょっとたまらねえ。」

「有沢翠ちゃんの純白スリップもろ見え!」

「お嬢様はやっぱりスリップ穿くのね。」

「最近珍しいよね?」

「あれ脱いだから透けてるのか?」

「オッサンに命じられて脱がされちゃったの?」

「露出プレーか。」」

「俺は逆に着てもらいたい!」

「透けてると恥ずかしいから、ここで穿きな!」

「あ、ここで生着替え、いいねえ!」

「有沢翠ちゃん、スリップを穿いて!」

私はこの人前でスリップを穿かせる案を名案だと思った。

いっぺんワンピースを脱ぎ、全裸になってからスリップを穿いて行く。

素晴らしいじゃないか!

是非見てみたい。

しかし、スリップを渡しても娘はきっとそれを穿いたりはしないだろう。お嬢様が都会の真ん中で生着替えなどするはずがない。

私は娘のスリップをしばし晒すと、娘の横に置いたカバンの方を向いた。

私は娘のスリップで顔を隠したまま、カバンとタブレットをつかんだ。

そしてそのまま、その場を立ち去った。

「あ、返してください!」

娘の泣き声が聞こえた。

私はドクンドクンと鼓動が耳元で鳴るのを聞きながら、白いスリップで顔を隠しつつ小走りに逃げた。

 

#有沢翠

 

自室で、私は下半身を丸出しにし、娘のスリップを広げ眺めていた。

顔をうずめる。

いい香りがした。

カップ部の内側を見た。

そしてそのカップへ鼻と口とを押し込んだ。

匂いを嗅ぎキスをする。

ここに娘のあの大きな恥ずかしい乳輪は当たっていたのだ。

もう一度広げて見た。

股間部に顔をうずめる私。

何度も匂いを嗅いだ。

娘の下着

これを娘は晒されてしまったのだ。

「有沢翠ちゃん。」

私は娘のスリップに頬ずりした。

「うっかりお嬢様。いつもうっかりで、恥ずかしい。」

私は娘のスリップを、熱くいきり立ったモノへと持って行った。

そしてその柔らかな白いスリップでモノを包み、握った。

それから私は、激しくしごいた。

「有沢翠ちゃん。」

「恥ずかしい。恥ずかしい『うっかりお嬢様』。」

「見られちゃった。全部、見られちゃった。」

「スマホで撮られちゃった。」

「ああ、大勢の男たちに。」

「シミチョロだけで泣くほど恥じ入るお嬢様が、あんな巨大な乳輪を。男たちの写真撮る前で!」

「パンチラもしてしまった。スカートが風でめくれて。」

「お嬢様なのに。」

「はしたない!」

「恥ずかしい!」

「全部丸見え!」

「全部!男の見る前で全部見られた!」

私は淫液を、全て娘のスリップへと放った


娘の写真はツイッターに上がった。

#有沢翠」「#田園調布在住東京セミナー生」「#すごすぎる乳輪」「#お嬢様露出プレー」

画像付きツイートは瞬く間にリツイートされて拡散した。

「有沢翠」で検索してみると、ものすごい数の投稿が並んだ。

#有沢翠 っていうらしい。」

帰宅途中を撮られた娘の写真もあった。

胸をバッグで隠してパンティーが透けた状態。

顔を真っ赤に染めている。

娘の顔は気品に溢れ可愛らしく、またワンピースがとても愛らしい。

その愛らしさで、あるいは大きな乳輪を透けて露出し、あるいはピンクのパンティーを丸出しにして歩いたりしているのだから男らが興味を持たないはずはなかった。

私も娘の写真をツイートした。

スカートのシースルー部にスリップのレースが透けて立つ写真。

全てはこれが始まりだった。

#うっかりお嬢様 #有沢翠」

私はうっかりお嬢様の顛末をツイッターで語った。

「うっかりお嬢様」の呼称は、徐々にネット上で使われるようになって行った。




本作品はフィクションです。登場する人物は実在しません。


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