夢ならさめて…

 

〜令嬢・羞恥修羅場(はじしゅらば)〜

≪下巻≫

 

 

 

 

 

 

お嬢様の股間拭き

静まり返ったエレベーターの中には、紀子美の号泣する声だけが響き渡っていた。

床の上には黄色い水たまり。

その大きな水たまりの中には、紀子美のスカートからポタポタと雫が滴り落ちていた……。

長かった紀子美の大放尿……。

それは今、ようやく終わりを迎えたところだった……。

紀子美は白い床の上へと広がった大きな黄色い水たまりの直中に立ち、両手で股間を押さえたまま、腰を落として激しく震えていた。

水分の多いフルーツ各種、それにミルクティー2杯とミネラル水五百ミリリットルから作られた大量の小水。

それは全く想像を絶する、凄まじい量のものであった……。

実に驚くべき、長時間に及んだ大放尿……。

乗客たちの中には、これほど長い時間続いた放尿など見たことのある者はいなかった……。

エレベーターの中には強烈な尿臭が充満していた。

それは紀子美の顔からは想像をしかねる、不愉快極まりないムッと来る悪臭だった……。

一人の婦人は紀子美に「終わった?」と尋ね、紀子美は泣きながら頷いた。

すると婦人連れは互いに相方と目で合図し合った後、紀子美の身体に手を添えてやり、彼女を水たまりから外へ出るよう促してやった。

紀子美は相変わらず無様に腰を落としたまま、片手を額に当ててうつむき、全身を震わせながらぎこちなく歩き始めた。彼女の膝には、パンストとパンティーとが下ろされたままの状態であった。

紀子美の足下では、ハイヒールがピチャピチャと水たまりの中で音をたてた。

紀子美のスカートの前側は、今や一面、真っ黄色に色濃く染まってしまっていた。

パニエからはポタポタと雫が滴り落ちている。

おめかしした清楚なお嬢様は、今や何とも哀れな姿に成り果ててしまっていた……。

婦人連れのうちの一人は、紀子美を水たまりから出すと彼女の足下にしゃがみ込み、そして彼女のパンティーに手を触れてみた。

「ああ、これも濡れちゃってるわね……。」

紀子美のパンティーは、やはり尿を吸って汚れてしまっているのだった。

彼女はスカートで股間を押さえていたため、パニエに染み込んだ尿が太ももを伝い、やがて膝上のパンティーをも汚してしまったのである。

婦人は紀子美を見上げ、「脱いじゃいましょうか?」と彼女に言うなり、紀子美が頷くのを待つこともせず、そのパンストとパンティーとを足首へと下ろし始めた。

相方の婦人も紀子美のそばにしゃがみ込み、彼女のハイヒールに手を当てて言った。

「足上げてくれる?」

紀子美は泣きながら片足を浮かせ、婦人にハイヒールを片足ずつ脱がせてもらい始めた。

「男の人たち、見ないであげて……!」

パンティーを下ろしている婦人は、男性たちの方を見て言った。

男性たちは一応すごすごと窓の外へと身体を向けて行った。しかし、彼らはすぐにまた、顔だけ振り向いて紀子美の姿を見てしまうのだった。

彼らが振り向いて見た時、紀子美は両足からハイヒールを脱がされて、そして片足ずつパンストとパンティーとを抜かれて行くところだった。形良い足首から丸まった下着が抜き取られて行く様は、男性たちの目に一種エロティックに映って見えた。

今や「ナマ脚」となってしまった紀子美のふくらはぎ。

その上で広がっている、あの2段になったスカートの中身は、もはやノーパンの状態なのだった……。

男性たちの視線は、紀子美の下半身を、嫌らしい感じで上下ジロジロと舐め回していた……。

「さあ、これでいいわ……。」

婦人連れの一人は、紀子美からパンティーとパンストとを脱がし終えてしまうと、それらを手に持ってエレベーターの隅に行き、そしてその場所に、小さく丸めて置いた。

もう一人の婦人は、紀子美の素足にもう一度ハイヒールを履かせてやり始めていた。

「本当に、可哀相だったわねえ……。」

婦人は紀子美にハイヒールを履かせながら、しきりに彼女を哀れんだ。

エレベーターの隅に下着を置いた婦人は、男性たちの立っている向こうのところまで、自分のバッグを取りに行った。

「皆さん、可哀相だから見ないであげてちょうだい?ね……?」

彼女はバッグを取り上げる際、男性たちが顔だけ振り向いているのを見て、そう頼んだ。彼らはバツの悪い顔をして、一旦はまた紀子美から目を逸らしてやっていた。

婦人はバッグを取り、中を開いて探りながら、紀子美の方へと戻って行った。

彼女が中から取り出したのは、ポケットティッシュであった。

婦人はバッグを床に置き、そしてティッシュを数枚、袋から取り出した。

「あの……、男の人たち、これはホントに見ないであげて……?」

そう言いながら婦人はティッシュを全て広げて行った。

「あの、皆さん、ホントに見ないであげてね……?」

もう一人の婦人も、加えて男性たちに念を押した。

男性たちは、仕方なく、しぶしぶと窓の外を向いて行った。

すると婦人はティッシュを持って紀子美の前にしゃがみ込み、

「ちょっと御免なさいね?」

と言って、紀子美のスカートに片手をかけた。

「あ……、いいです……。」

紀子美はとっさにスカートを押さえ込み、ティッシュを持った婦人に言った。

「私、じぶ、んで、やります、から……。」

彼女は激しく泣きじゃくりながら、やっとの様子でそう言った。

「そーお?」

婦人はティッシュを持ったまま立ち上がった。


テレビの画面では、紀子美が両手から手袋を外し、一人の婦人に渡す姿が映っていた。(紀子美の手袋は、スカートの股間を押さえていたため、やはり尿で湿ってしまっていたのである。)

紀子美は婦人からティッシュを受け取ると、何やらその場にしゃがみ込んで行った。

婦人たちは窓際に立つ男性たちに何かを指示し始め、男性らはしぶしぶと顔を窓の方に向けて行った。


エレベーター内は、また静まり返っていた。

ヒクヒクと泣きじゃくる紀子美の声。

男性たちはまた、そっと顔だけ振り向いて、紀子美を覗き見た……。

婦人たちの立つ間に、紀子美がしゃがんでいた。

紀子美は彼らに背を向けて、所謂「ウンコ座り」でしゃがんでいた。

ドレスの腰には大きなリボン。

紀子美はティッシュを持った右手をスカートの前にやり、そして上半身を捩りながら、その手をスカートの奥へと入れて行った……。

(凄い姿だ……!)

男性たちの誰もが思った。

「ほら!見ないであげて……!」

婦人の喝が、また飛んだ。

男性らは一斉に、窓の外へと顔を戻した。

紀子美がヒクヒクと泣きじゃくる声が聞こえる。するとその声の合間から、やがて紀子美の股間でティッシュが擦れる音が聞こえた……。


「やだ、ちょー恥ずかしいよ、あんなのー……!」

「サイアク!って感じ

……?」

ヤルタの大スクリーン前では、コギャルたちが映像を見上げ、口々に叫んでいた。

その巨大スクリーンには何と、今「ウンコ座り」で股間を拭く、恥ずかしい紀子美の後ろ姿が映し出されているのだった。

髪の後ろを真っ白なかすみ草で飾ったお嬢様の、何ともあられもない後ろ姿である。

人々は口々にどよめき声をあげながら、驚いてスクリーンを見上げていた。

「おい!ケツ拭いてるよ、お嬢様が……!」

「ケツじゃなくって“マタ”だろう……?」

「おやおや、すごいねコリャ……。」

「やだ、可哀相に……。」

「お嫁行けないよ、あれじゃもう……!」

「ちょーカワイソーだね?あのお嬢様……!」

美しくおめかしをした、清楚なドレス姿のお嬢様は、はしたなくも「ウンコ座り」をして股間の汚れを拭く、その恥ずかしい姿を、日本全国へとテレビ中継されてしまっているのだった……。


エレベーターの中では、紀子美が顔を耳まで赤く染め、泣きながら股間を拭いていた。

その股間からはティッシュの擦れ合う乾いた音が、かすかに男性たちの耳元にまで漏れ聞こえていた。

男性たちは相変わらず、皆顔だけを紀子美に振り向かせ、立っていた。

彼らの顔は上気して、その下半身は密かにズボンの前を膨らませているのだった……。

「拭けた?」

一人の婦人は紀子美に尋ねた。

紀子美は泣きながら婦人に頷き、ティッシュを手の中で小さく折り畳んで行った。

「捨ててあげる。」

婦人は紀子美に手を差し出した。紀子美は会釈しながら「すみません……」と彼女にティッシュを手渡した。

ティッシュを受け取った婦人は、先ほど置いたパンティーの下へと、そっとティッシュを持って行き、隠した。

紀子美はもう一人の婦人に手を添えられながら、また立ち上がって行った。

「どうも、すみっ、ません、

ヒック……。」

紀子美は泣きじゃくりながら、手を貸してくれた婦人に頭を下げた。

「ああ、オシッコ染みちゃったわねえ……。」

婦人は紀子美のスカートを見て言った。

「ドアの方、向いていなさいよ、ね?」

ティッシュを隠して来た婦人は、紀子美にドアを指差して言った。

しかし紀子美は、「ええ、でも……」と言って、男性たちの方を向き直ってしまうのだった……。


「おっと、白石さん、こちらを向きました……!」

テレビ画面には、この時初めてスカートのシミが映し出された。


「こ、こんな、と、とこ、ろ、で、

ヒックヒッ……」

紀子美は何と、男性たちに謝り始めたのだった。

「す、すみ、

ヒック、ヒッ、す、すみま、ヒッ、すみま、せん、で、ヒッ、し、ヒッ……た、ヒックヒイイッ……。」

スカートの前でしおらしく両手を合わせ、紀子美は何度も泣きじゃくりつつ男性たちに詫びを言った。その姿は、何ともいじらしいものだった。


「白石さん、男性乗客に向かって何かを言っています、そして、ああ、今度は深々と頭を下げました……。」

画面の紀子美はスカートの前に両手を合わせたまま、男性たちに頭を下げて行った。そして彼女は、片手を額に持って行くなり、そのまま号泣し始めてしまった。

「ああっと、白石さん、泣き崩れて行きます……!

「女性たちが手を貸して……、白石さんを向こう側へと向かせました……。

「恥ずかしかったのでしょう、白石紀子美さん……。

「ああ!また、しゃがみ込んでしまいました……!」

紀子美はドアの方へと向いてしゃがみ込み、両手で顔を覆って泣き出した。

婦人連れはなす術もなく立ち尽くして見ている。

男性たちも同様だった……。

「ああ恥ずかしい、白石紀子美さん……。

「泣いています……。

「恥ずかしい……。

「恥ずかしいでしょう。23歳……。

「うら若き深窓の御令嬢です……。

「できれば見ないであげたかった……。

「あの恥ずかしい、白石さんの姿……。

「お手洗いを我慢し、オモラシするところから、その股間を拭くはしたない姿まで、全て、全国の人前に晒してしまいました……。

「ああ、恥ずかしい、白石紀子美さん……。

「床には排泄した尿が水たまりとなって広がっております……。

「凄い量……。

「もの凄い量です……。

「見られてしまいました……。

「見られてはいけなかった……、決して誰にも見せてはならなかった恥ずかしい姿を、白石さんは一部始終、人前に晒してしまいました……。

「ああ、恥ずかしい……!

「恥ずかし過ぎるお嬢様……!

「今日の日の記憶は、人々の頭から消える日が来るのでしょうか……。

「恥ずかしい……。

「実に恥ずかしい一日となってしまいました……!」

レポーターは延々と喋り続け、紀子美の泣く姿はいつまでもブラウン管の中へと映し出されていた。

紀子美の連呼される名前は、こうしている間にも人々の頭へと深く深く刻み込まれて行くのであった……。

 

 

 

生き恥

紀子美の失禁からさらに1時間あまりが経過した。

時刻は3時15分。

エレベーターの乗客たちは、紀子美を除いて皆しゃがみ込んでいた。

婦人連れの二人は、ハンカチで鼻を覆っていた。それはエレベーターに充満した強烈な尿臭から、自分たちの鼻を少しでも守ろうとせんがためであった。

紀子美はその濃厚な尿臭の中、スカートのシミを隠してドアの方を向いて立ち、シクシクと泣きじゃくっていた。

床には尿の水たまり……。

紀子美が排泄した小便の海である……。

紀子美は今まで1時間以上もの間、ずっとエレベーター内の男性たちに、その尿を見られてしまっていた。

歩道橋の上からはテレビカメラが見据えている……。

紀子美は、自分が体内から排泄した尿を見られ、写され、そしてその悪臭を男性たちに嗅がれ続けるという、この強烈な耐え難い羞恥に、ずっと責め続けられているのであった。

何か失禁した時にも増して、紀子美の胸は激しく羞恥に締め付けられているのだった……。

それに加えて彼女は今、ドレスのスカートの下に何も着けていない……。

紀子美は、その自分のはしたない格好を思うにつけ、さらに気絶しそうな恥ずかしさを覚えるのであった……。

丸出しの股間がスースーとする。

裾をパニエで広げられたスカートが、何とも心許なく感じられた……。

――ああ、私、「マゾ」だったら良かったのに……。

紀子美はお嬢様とは言え、高校大学時代には周囲の人間から色々なことを聞かされる機会があった。だから世の中にマゾという人種がいることくらいは知っていたのである。

紀子美は今、自分がそれだったならどんなに良かったかと、心底思っていた。

マゾっ気のあるひとはねえ、人前でオモラシしたりした時に感じちゃうんだってよお……?〃

あの時、クラスメイトは確かそう言っていた……。

――人前でオモラシして快感を覚えるだなんて、一体どういう神経だろう。

――こんな恥ずかしいことが気持ちいい筈ないではないか……。

紀子美にはマゾの気持ちが全く分からなかった。

――今日から私は、どうやって生きて行けばいいのだろう……。

――もう街に出ることなどできない……。

――もう私はお嫁にも行けない……。

――もう恥ずかしくて、私、とても生きてなんて行かれない……!

紀子美はひたすら羞恥に苦しみ、そしてその真っ赤な頬に大粒の涙を流して泣いていた……。


午後4時43分。

ようやくインターホンから、修理完了の連絡が入った。

「皆様、大変御迷惑をおかけしました。修理が完了しましたので、扉が開く階でお降り下さい……。」

乗客たちは、もはや歓びの声などあげることなく、けだるそうに愚痴を言いながら、ゆっくりと立ち上がって行った。

「ああ、やっと出られるかー……!」

「待ちくたびれたよ、もう……!」

婦人たちは立ち上がると、床に置いてあった紀子美のハンドバッグを手に取ってやり、泣きじゃくる紀子美に近寄って行った。

「やっと降りられるわね……?」

紀子美は彼女らにバッグを渡されると、何も言わぬまま、うつむいて号泣し始めた。

一人の婦人は彼女をそっと抱き寄せてやり、そして優しく慰めた……。

エレベーター故障から4時間以上……。

あまりにも遅すぎる解放であった……。


「ほら下がって……!」

「下がって、そこ、下がりなさい……!」

ロビー階のエレベーター前には、押し寄せた報道陣を整理する警備員の怒号が響き渡っていた。

レポーターたちは口々に何かマイクに喋っており、辺りには煌々とライトが灯されていた。

テレビ画面には、今、エレベーターのドア横に付いている階数表示灯が映し出されていた。

それはまさしく今、ロビー階を表すLの字に電気が点灯するところであった……。

チーン、と音がして、エレベーターが到着した。

目の前のドアは音もなく開いて、中に乗客たちの姿が現れた……。

ストロボが一斉に焚かれ、報道陣が押し寄せて行った。

押すな押すなの怒号がひどくなる。

エレベーターの乗客らは、次々と警備員にガードされながら報道陣の前に歩み出て来た。

「ほら、ちょっと!前どけよ!」

「こら、見えねーじゃねえかよ!」

「おい、こら!どけよ!」

そうしているうちに、彼らの前には、ついに紀子美の姿が現れた……。

「あ!白石さん!」

「白石さん!一言お願いします!」

「白石さん!オシッコ、辛かったですねえ!」

「オモラシして、恥ずかしかったですか?白石さん!」

「大勢の人前でオモラシしてしまったわけですが……!」

「テレビに中継されてたのは御存知でしたか?」

「紀子美さん!一言!」

「全国に流されちゃったんですよ……?」

「恥ずかしいですか?白石さん!」

「お嫁に行けないって思いますか……?」

レポーターたちは我先にと、紀子美に声をかけていた。それはインタビューと言うよりも、イジメと呼ぶべき類のものだった。

紀子美は左右を警備員に守られながら、報道陣の間を揉みくちゃにされて歩いていた。

彼女は両手に、汚れた下着類とバッグとを持ち、それをスカートの前側に当てていた。

そのスカートの前側には、今やすっかり乾燥した黄色いオモラシのシミが、大きく、恥ずかしく、鮮明に広がってしまっているのだった……。

「おい、シミ写せ!シミ……!」

「ドレスのシミ写せ……!」

テレビカメラは指示を受け、紀子美のスカートを容赦なく大映しにして行った。

ブラウン管の前には、相変わらず大勢の視聴者が釘付けとなっていた。

ヒラヒラと2段になって大きく広がる、紀子美の愛らしいスカート。

その生地に広がる恥ずかしいシミは、紀子美の真っ白な手に握られた下着類やバッグと共に、至近距離からライトを浴びせられ、クッキリと全国のブラウン管へと映し出されてしまった……。

紀子美は顔を真っ赤に染めてうつむき、両頬を涙で濡らしながら、激しく泣きじゃくって歩いていた。

彼女が歩く、その周囲には、鼻にムッと来る小便の匂いが、プンプンと漂い出して来ているのだった……。


翌日、月曜日の朝。

駅のキオスクでは、スポーツ紙が飛ぶように売れた。

その日に限っては、普段スポーツ紙を読まぬようなOLや老婦人までもが、それらの新聞を買い求めて行くのだった。

この日、それらの紙面には、色とりどりのショッキングな大見出しと共に、紀子美の写真と詳細な記事とが大々的に載せられていたのである……。

 

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