第2話:

誕生パーティー(前編)

 

豪華なカーペットを瀟洒なシャンデリアが薄暗く照らす広大な大広間。

ガラス製のテーブルを挟んで、小夜子と母親とが、向かい合い、革製のソファに座っていた。

この時、小夜子は7歳。

小学校入学式前日の夜だった……。

「小夜子さん……。よく聞いてちょうだいね……。」

小夜子の母親は、思い詰めた表情で、こう切り出した。

まだ、あまりにもあどけない小夜子は、髪にリボンを留め、フリルが愛らしい花柄のワンピースを着た姿で、きちんとした姿勢でソファに座り、母親の顔をじっと見つめて聞いていた。

「あなたのお小水、出るところ……、分かるわよね……?」

母親の口からは、意外な言葉が飛び出した。小夜子はただポカンとした表情をして、コクリと頷いた。

「あれは……、本当はね……、女の子には付いていてはいけないものなの……。」

母親は、この時初めて、小夜子に真実を告げたのだった……。

小夜子は良く意味を飲み込めない様子で、少し首をかしげ、黙って母親を見つめていた……。

「いいこと……?あれは男の子にしか付いていないものなの……。

「女の子に付いてたら、恥ずかしいものなのよ……。」

そうして、母親は小夜子を見つめたまま、眉間に皺を寄せ、黙った。

小夜子も、彼女を見つめている……。

「小夜子さん……。」

母親は、緊張した面もちで、思い切ったように、そう切り出した。

「あなたの、その恥ずかしいモノ……、手術して取っちゃいましょうか……?」

小夜子は「手術」という言葉に衝撃を受け、驚きに顔をこわばらせた。

「イヤ……。」

小夜子は驚いた表情のまま、小さく声を漏らした。

「イヤです……。私、手術なんて、絶対にイヤです……!」

小夜子は、顔をこわばらせたまま必死に拒絶の言葉を発した。

「お母様……、私、手術なんて……。」

そう言って小夜子は、両手を目に当ててうつむき、泣き出してしまった……。

母親は、その小夜子の姿を見てうなだれ、ソファーの上ですすり泣く他はなかった……。

 


 

小夜子は、名門の女子小学校に入学した。

母親は日々、小夜子の帰りを待って気が気ではなかったが、幸運にも小夜子の秘密は露見せぬまま、やがて卒業の日を迎えたのだった。

しかし、それは小夜子が中等部に進んだ春のことだった。

恐れていた悲劇が、ついに小夜子の身へと降りかかったのである……。

 


 

「美那子お嬢様、お友達の楠本小夜子さんがお見えになりました……。」

メイドに案内されて、ドアの向こうに現れたのは、桃色のミディドレスを着た、目も覚めんばかりに美しい少女であった。

13歳、中学1年生の小夜子……。

フリルとパフスリーブが愛らしい、スカートの広がったドレスを着て、長い黒髪にレースの純白リボン。ほっそりとした美しいふくらはぎは、上品な薄手の白いストッキングに包まれていた……。

部屋の中では、数人の少年たちが少女らと立ち話をした体勢のまま振り向いていたが、彼らは皆、小夜子の愛らしさを見て驚き、小夜子の全身をせわしなく上下に眺め回していた。

真っ白な卵形の顔に、おっとりとした目鼻立ち。

両肩にはパフスリーブが膨らみ、大きな襟は白いレースのフリルによって縁取りされていた。

その襟の合わせ目には、ドレスと同色の桃色コサージュ、そして、その下に垂れ下がる、やや濃い目のピンク色をしたリボン。

パフスリーブの袖口は、丸い飾りボタンできちんと閉じられ、そこからは真っ白な両腕が伸び、スカートの前でしおらしく重ねられた両手へと続いていた。

スカートの腰には胸元のリボンと同じ、濃い目のピンク色をしたサッシュベルトが巻かれ、後ろで蝶結びにされていた……。

「ごきげんよう……。」

小さな声を出し上品に会釈する小夜子。

その声は彼女の顔に似て、しとやかで愛らしいものであった。

少年たちはドギマギした様子で小夜子を見つめ、「こんにちは」などと小声で挨拶しつつ、ペコリと頭を下げた。

どうやらシャイな性格であるらしい少年たちの顔は、明らかに紅潮してしまっていた。

少女たちは彼らの顔と小夜子とを見比べながら、何やら嫌らしげな笑みを浮かべ、立っていた……。

 


 

中庭の芝生が目映く見渡せる、明るい日差しに包まれた洋間。

愛らしくおめかしをした小夜子たちは、メイドらが料理を下げる中、静かに談笑し、少年らと共にテーブルを囲んで座っていた。

上席に座っているのは、薄紫色のドレスが可愛い、目のパッチリした派手めの少女であった。

須賀美那子――。今日は彼女の誕生パーティーなのだった。

しかし、何故、小夜子がここに呼ばれたのか……。

小夜子にはそれが、今ひとつ分からなかった。

と言うのは、美那子と小夜子とは特に友達というわけではなかったのである……。

小夜子はスカートの上に置いていたナプキンをテーブルに置くと、「ちょっと、失礼します……」と愛らしい小声で言い、静かに立ち上がった。

それを見ると、一人のメイドはそっと近寄り、「お髪(ぐし)をお直しですか?」と小夜子の耳元で囁いた。「お髪を直す」とは、小夜子たちの世界で「トイレに行く」の意であった。小夜子は「はい……」と小声で答え、頷いた。メイドは「御案内いたします……」と先に立ち、歩き出した。

後に残った少女たちは、互いに顔を向け合い、何やら嫌らしく笑みを浮かべ合っていた……。

 


 

金色に縁取られた鏡と大理石の洗面所とがいかにも豪勢な化粧室。

彫刻付きの木製ドアが開いて、トイレから小夜子が出て来た。

と、そこには、少女たちが腰に手を当てるなどして小夜子を待ち構えていたのだった。

「すっきりあそばして?」

「ちゃんとオチンチン振ったの?」

少女たちはニヤニヤとしながら、小夜子にそんな言葉をかけた。

小夜子は「オチンチン」という言葉に驚き、ハッと、ひきつった顔で一人の少女を見た。

少女は意地悪げにニヤニヤとしながら、腕を組んで小夜子を見ていた。

男根のことは彼女が喋ってしまったのに違いなかった。

彼女はたまたま教室でふざけた際、小夜子の股間をスカート上から握り、それの存在を知ってしまっていたのである……。

と、少女たちは一斉に小夜子を取り囲み、彼女のスカートに四方から手を掛け出した。

いやっ……!」

小夜子はスカートを押さえ、もがいたが、彼女の薄ピンク色のスカートは真っ白なパニエもろとも、容赦なくめくられて行ってしまった。

やめて……、……!」

白いストッキングに覆われた太ももが露出し、ガーターベルトまで現れる。

やがて白いフリル付きパンティーが露出した……。

……!下さ……!」

美那子の手が、小夜子のパンティーへとかけられた。

やっ……、て……!下さ……!

……はああっっっっ……!」

小夜子のパンティーは、美那子の両手によって、一気に太ももへと下ろされてしまった。

小夜子は、声にならない悲鳴をあげ、目をつむって顔を背けた。

少女たちは、小夜子のスカートをめくったまま、一瞬声を失い、固まった。

「な、何これぇ……。」

「や……、ほんとに、ある……!」

小夜子の股間には、まぎれもない男性のシンボルが、ダラリと頭(こうべ)を垂れていたのだった。そして、その付け根の下には、まだ数本しか毛の生えていない陰のうまで見えていた……。

小夜子は身体を捩り抵抗を試みた。しかし、彼女は少女らにドレスをめくられたまま全身を強く押さえられてしまっており、身動きは全く取れなかった。

小夜子は真っ赤に染まった顔を背け、目をつむったまま、両頬に涙をポロポロと流し始めた……。

「何、楠本さんて、男の子だったの……?」

一人の少女がそう言ったのを受け、美那子は小夜子の陰のうに手を伸ばし、大胆にも陰のうを手のひらに乗せ持ち上げてしまった。

小夜子の身体がビクンと反応する。

美那子は小夜子の陰のうを持ち上げたまま、彼女の股間を覗き込んで見た。他の少女らも続いて小夜子の股間を覗き込んだ。

「あぁ……、あるよ……!?」

「ほんと、女の子のも付いてる……!」

少女らは、小夜子の股間に女性器の存在も認めた。

「いあああん…………。」

小夜子は全身を左右に捩り、抵抗した。

少女らは小夜子のスカートをめくったまま彼女の身体を押さえつつ、あまりの驚きに呆然と、小夜子の股間を覗き込んでいた。

と、その時である。

「やだ!何っ……!」

美那子は突然声をあげ、小夜子の陰のうを手放し、後ずさった。

「この子、オチンチン大きくなってるよ……!」

美那子は、小夜子のペニスを見つめ、言った。

何と、小夜子のペニスは、美那子の手のひらに持ち上げられたまま、その場所でムクムクと異変を起こしてしまったのだった。(陰のうの裏側を、すべすべとしたお嬢様の手のひらでそっと持ち上げられていたのだから、仕方がない……。)

「えぇっ……?」

少女たちは小夜子のスカートをめくって持ったまま、小夜子のペニスを注視した。

いややはぁん……。」

小夜子は顔を真っ赤に染めながら、全身を激しく左右に捩り、もがいた。

「あ、ほんと、大っきくなってる……!」

小夜子のペニスは明らかに最初より体積を増しており、包茎気味の先端から亀頭を一部覗かせているのだった。

「やだぁ……!何か顔出してるよぉ……?」

「何この子?気持ち良くなってるのー……?」

「やだ、やらしい……!」

「まだ大っきくなってるじゃない……!」

小夜子の男根は、依然、勃起を続けていた……。

美那子は小夜子のパンティーに再び両手をかけ、膝から下へと下ろして行った。

そして無理矢理に、小夜子のパンティーを両足から引き抜いてしまった。

「ちょっと、これ……、こうすると感じるわけ……?」

美那子は脱がしたパンティーを右手につかむと、その端を小夜子の陰のうに近づけ、そして裏側をそっと撫で上げてみた。

「は、んんん……!」

小夜子は思わず、ストッキングの中で両足のつま先を丸めた。

小夜子の全身が緊張する。

ペニスは、するとムクムクと、また一層勢い良く膨らんで行くのだった。

「や……気持ちよくなってるんだ……!」

「ハズカシイ!」

「お下品……!」

美那子は続けて、小夜子の裏側をパンティーで撫で上げた。

「は……、 いやぁ……。」

小夜子は顔を真っ赤にし、全身を捩った。

ペニスはムクムクと膨らんで行ってしまう。

そして、根もとから徐々に、その淫茎は顔をもたげ始めた……。

「ハズカシイ、この子、立って来ちゃってる……!」

「感じてるんだよ……!?」

「ハズカシイ……!」

「なんなの?ちょっと、汚なあい……!」

美那子は続けて、小夜子の陰のうを連続的に撫で回した。

いやぁ、は……、ぁあ……。」

小夜子のモノはみるみる大きく膨らんでしまい、その顔をますますもたげて行った。それは次第に脈打つような動作を見せ始め、上下にビンビンと跳ね上がり出した。

最初ひ弱だったその陰茎は、今やたくましい太さにまで成長し、皮には血管が浮き出して、全体にグロテスクな赤黒い色を帯び始めていた。長さも相当なものであった……。

「やあ、凄い……!」

「汚なーい……!」

「ハズカシイ……!」

「凄い色になってるぅ……!」

「普通こんなに大きいのぉ……?」

それは確かに、日本人男性の標準サイズを超えた大きさとなっていた。

17、8センチ……?いや、20センチもあろうか……?

小夜子のペニスは、しかも、なお大きく勃起し、成長し続けているのだった……。

やめて下さい……!……、やぁあぁぁ……!」

「凄い、誰も持ち上げてないのに立ってるよ……!?」

「サイテー……。」

「そんなに気持ちがいいの……?」

「男子が来ちゃうかもよ……?」

いやあぁぁ…………!」

小夜子は、パニエごとスカートをめくられたまま、顔を真っ赤に染め、必死に身を捩って泣いていた。

美那子は小夜子のパンティーで彼女の陰のうを撫で続け、小夜子のモノをムクムクと、ますます大きく膨らませて行った……。

 


 

バサッ……。

めくられていた小夜子のスカートが乱暴に四方から戻された。

美那子は手に持っていたパンティーをゴミ箱の方へと放り投げると、嫌らしい目つきで小夜子に振り向き、ニコリと顔を傾け言った。

「さあ、お部屋に戻りましょう……?」

少女達はニヤリと顔を歪め、泣きじゃくる小夜子の背中を無理矢理に押した。

小夜子は少女らに押されるまま、泣きじゃくりつつ洗面所から歩み出て行った……。

後にはゴミ箱に引っかかった小夜子の白いフリル付きパンティー……。

小夜子のスカートの中では今、グロテスクに勃起した超巨大ペニスが、勢い良く、その身を跳ね上がらせているのだった……。

 


 

「ねえ、楠本さんがツイスターゲームやるって。」

「凄く上手なのよ。」

部屋に戻った少女らは、少年たちにそう言った。

美那子は、1人の少女に手伝わせながら、ツイスターゲームのシートを絨毯の上に置き、広げて行った。

それは、下のような円の印刷してある白いシートだった。

 

●  ●  ●  ●  ●  ●

●  ●  ●  ●  ●  ●

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「ええ?その格好でやるの……?」

少年たちは小夜子のドレスを目で指して、驚きの声をあげた。

ツイスターゲームとは、ルーレットの指示に従ってプレイヤーが無理な体勢を強いられる様を楽しむゲームである。それを、あんなスカートの広がったドレスでやったなら……。

一体どうなるのかは、誰にも簡単に想像できた。

そして少年たちは、思わず淫猥な期待に胸高鳴らせてしまっているのだった……。

「さあ、楠本さん、乗って?」

小夜子は、しかし悲しげにうつむき、ただ立ち尽くすばかりだった。

「よーし!あたしもやるぅー!」

黒いドレスを着た一人の少女が元気良く手を挙げ、小夜子に近づいて何やら耳打ちした。

(「あのこと男の子たちに話しちゃおうか……?」)

少女は、そう言ったのだった。

小夜子は仕方なく、少女と共にシートの上へと足を踏み出した。

「最初は黄色からね?」

小夜子と少女とは、二人して下図のように黄色い円の上に立った。

(注:色丸は小夜子、黒丸は少女のポジションを示す。新しく動かした場所には太字を添える。)

 

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○  ○  ○  ○  ○  ○

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   少女左足 右足      小夜子左足 右足

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美那子は、横目で少年たちの顔を窺ってみた。

少年たちは幾分、顔を紅潮させ、興奮気味に小夜子の姿を注視している様子だった。

小夜子と共にシートに立った少女は、スカートの広がっていない地味なデザインのドレスを着ていたし、また、顔立ちも気品も小夜子の方が数段上であったため、少年たちの「期待」は小夜子の方へと集中しているのだった。

美那子は顔をそっと意地悪く歪め、

「さあ、それじゃあ始めましょう。」

と、ゲームの開始を宣言した……。

 


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